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Youtube【川上社長の「一流」深堀りチャンネル】 /第1弾:元ボクシング世界チャンピオン「八重樫 東」さんとの対談動画を公開しました。

弊社CEOの川上聡一朗がこのほどYoutubeチャンネルをリニューアルし、「川上社長の『一流』深掘りチャンネル」として再スタートを切りました。
様々な業界のトップランナーの方との対談から、確かな一歩を踏み出すヒントを探っていきます。

第1弾のゲストは、ボクシングの元世界3階級制覇王者・八重樫東さん。拳一つで頂点を極めた八重樫さんの哲学に、大きな発見がありました。

八重樫氏の今について

川上:早速ですが、八重樫さんは2年前に現役を引退さたそうですが、今はどのような生活をされているのでしょうか?

八重樫:現在は大橋ジムのトレーナーがメインです。週に2回、(3階級王者)井上尚弥のフィジカルを担当していて、別に3人の子のフィジカルも担当しています。その他にアスリートサポートを目的として軽貨物運送行をやっています。僕自身、現役の頃はずっとアルバイトをやっていましたし、ボクシングはお金にならないんですよ。でもやっぱり仕事の時間が多くなると、練習の時間が少なくなる。でも仕事の時間を少なくすると生活ができなくなる。すごく難しいバランスなんです。ボクサーは減量もあって、減量の時って仕事ができないのでその時は収入がなくなる。ちゃんとボクシングに向き合いたいけど、生活がしたいと思うと練習の時間が削られるんです。それが嫌だったので、うまくタイムスケジュールを組んで、選手たちがお金を稼ぎながらボクシングに集中できる環境を作りたくで始めました。

川上:ボクシングは試合に出て初めてお金がもらえるということですが、1試合たりの金額はどれぐらいですか

八重樫:ボクシングにはファイトマネーがあって、それは試合をしないともらえないんですね。なので年間0試合なら0円。ちなみにルーキーの子たちは1試合にすると3万9000円ですね。

川上:バスケットなら年間で7、80試合ありますけど、ボクシングはどれぐらい試合がありますか?

八重樫:多くて4試合ですね。

川上:ということは、ルーキーの選手は多くても1年間で16万円の収入と。

八重樫:だからこそ良い環境を作ることが底辺の拡大になりますし、ちゃんとボクシングを全うできる。世界とか日本とか、チャンピオンになれない子の方が多いですけど、ボクシングが終わった時に「ボクシングやってよかったな」って辞めていく子が1人でも多い方がいいなって思うので、そういう環境を作れたら良いなと思っています。

「質」と「根性論」

川上:我々世代は教育的に根性論があったし、かたや「根性論なんてさ」って部分もあると思います。それだけに、その2つをうまく伝えていく役割があるのかなと考えたりもするのですが。

八重樫:僕自身、その役割があったから(引退後に)大橋ジムに残ったところはあります。でも、僕は本質的にはファイトスタイルと同じで気合と根性ですね。現役を15年間やってきて感じたことは、最近「質の練習」っていう言葉をすごく使うんですけど、「質のいい仕事」「質のいい練習」「質のいい試合」ってどうやって作るのかといえば、それはやっぱり莫大な練習量なんですよ。莫大な練習量からちょっとだけ質が見える。きつい練習で「これ意味がないよ」っていう練習はないですし、その中から「質」を取り出せばいい練習になると思っています。そして、莫大な練習をするには気合と根性が必要なんです。メンタルトレーニングというか心のトレーニングにもなる。日本人の素質として持っているメンタルの強さを試合で出さないともったいないし、それを鍛えるのも莫大な練習量なんですよね。

川上:過去に八重樫さんが「練習は質より量だ」と仰っていた記事を拝見したことがあります。とはいえ質も大事だと思っていたのですが、背景を知って同意しました。仕事をやっている上でマニュアルとかあるけど、それが出来る過程は数ある失敗から抽出されているんですね。なので「質」を抽出するまでの「量」の分母は必要ですよね

川上:経営者として社員のモチバーションを上げるのは大変なことです。指導している選手のモチベーションを上げるためにどんなことをしていますか?

八重樫:モチベーションが・・・という選手には「試合が決まってから頑張りだしても遅いんだよ」っていう話をします。「試合が決まっていない今だからこそできることがたくさんある」と。試合相手が決まれば、その相手に対してやらないといけないことがたくさんあるので、「今は好きなことをたくさんできるんだから、今地力をつけていけよ」って話しをします。辞書で調べると書いてるんですけど、自分に対して嫌なことを耐えるのを「我慢」って言うんですね。それに対して「辛抱」というのは好きなこと、なりたいこと、夢や目標のために耐えることなんですよ。社長も感じてこられたと思いますが、そこを耐えて、耐えて、少しずつ地力をつけていって、今があるのではないかと思いますね。

川上:確かに我慢したことはないですね。辛抱はしたかもしれないですね。

懸命に悔いなく

川上:今私が悩んでいると言いますか、教えて欲しい、ヒントが欲しいことがあります。私自身、ホールディングスの中で「経営理念」を作っていないんです。なかなか言語化できなかったり、そもそも作る必要がないと思う時期も一時期ありました。でもようやく、自分の頭の中でイメージができてきて作ろうと思い始めました。八重樫さんが考える、理念や哲学の大切さとは何ですか?

八重樫:僕はよく「懸命に悔いなく」という言葉をサイン色紙に書くんですが、もともとは僕の言葉ではないんです。僕が3階級制覇する前、2014年ぐらいに(当時世界と称された)ローマン・ゴンサレスという選手に負けてフライ級の世界王座から陥落して、その次の試合も負けて引退するかしないかっていう状況の時がありました。その時、僕は岩手県出身なので復興支援をやっていたのですが、その仲間達と一緒に岩手県の沿岸部に行ったことがあったんです。その時に、僕がずっと会いたいと思っていた格闘技道場の道場主がいて、その方に初めてお会いさせてもらいました。津波の話とか、格闘技に救われたから格闘技でみんなに恩返しするとか、いろいろな話をしました。その後に僕に色紙を書いてくれて「懸命に悔いなく」って書いてあったので、どういう意味ですかって聞いたら、「残された俺たちはあいつらの分まで生きなきゃいけないから。だから生きるんだったらあいつらの分まで一生懸命生きないといけないんだ」って意味だと。そこで、世界チャンピオンになっても、なれなくてもグローブを置いた時に「ボクシングをやってきてよかったな」って思えれば悔いがないのかなって。やってきてよかったなと最後に思えたら、それでオールOKだと思う。そういう風な競技人生を歩むためには、日々を全うしないとどこかで後悔するんですよね。

川上:今の話をお伺いして、僕自身が経営理念を作れなかった、それに対して自信を持てなかったっていうのが何となく分かった気がします。「懸命に悔いなく」という言葉を発した方の背景を知ったから、その言葉に重みが出たと思います。例えば「お客さんを大切に」という経営理念があったとしても、それを体現してきた人の言葉なら伝わると思うけど、受け売りの言葉だと伝わらないと思いました。そういう意味では僕自身が背景、キャリアがまだ薄いので皆に自信持って言ってあげられることがないかなと。ただ、その中で少しずつ見えてきたのが「いい準備をしたいな」というのがありました。いい準備をしていい仕事をすると。いい仕事をするためにはいい準備をしないといけないって。「いい準備をしよう」っていうのが今自然と出てきた言葉ですし、意識してきたことですね。

未来への「準備」

八重樫:今は60億を稼ぐ大社長ですが、どのようにしてそこまで大きくできたんですか?

川上:元々サラリーマンをしていました。大手の会社に就職ができて一生を終えようと思っていました。小さいながらに両親が会社を経営していて、父親が難病にかかって母親から戻って来て欲しいということで戻ったんです。社会人3年目ぐらいでした。その時は大阪に1拠点で、ビルメンテナンスを行っていた3億円ぐらいの会社だったんですが、お客様が大きく3社あってA、B、Cとあったとしたら1億、1億、1億の3億。そのA社の毎年あった仕事がなくなったんです。それが戻って1年目の時でした。

八重樫:その苦しい時期が転機だったのですか?

川上:そうですね。会社を成長させていくために、売り上げのリスク分散をしよう、1社で20%を超えるような依存率をなくそうという動きをしました。これも「準備」ですよね。その準備が終わったら、地域のリスク分散をしようと、大阪から東京に出てきたんです。地域のリスク分散が終わった後は、ビルメンテナンスって掃除の方、警備の方とたくさんパートさんが必要なんです。当時は何百人って。これから人口がどんどん減っていく中でこういったたくさんの人を雇う商売を継続して10年後、20年後大丈夫なのかと考えて、業種のリスクを考えるようになりました。設計と工事とメンテナンス、これをパッケージできる会社を作ろうと。なので、事業が成功してきたというよりも、そうやってこれから起こるリスクへの準備をやってきた結果が今みたいな感じです。ようやく整ってきたので、これから何をやっていこうかというところですね。

八重樫:準備を続けてきたからこそ、今こうなったってことですね。今やっと整備できて、そこに経営理念を立てられたらまた違う形になっていくということですね。

川上:八重樫さんもトレーナーとしていろいろな準備をしていると思いますが?

八重樫:選手は試合の時に一番のピークをもっていかないといけないんですね。色々な話をしながら、メンタルの浮き沈みについても話したりするけど、本当の準備はそこではなくて。試合が決まった後からのシュミレーションも大事だけど、試合が終わった後の次の日から試合が決まる前日までが大事なんです。その期間でどこまでやれるかが強くなれるかどうかにつながると思っています。

川上:貴重なお話をありがとうございました。

八重樫:こちらこそ、ありがとうございました。


対談を終えた川上CEOのコメント

「これまで経営理念を作らないといけないと思ったことはありました。『懸命に悔いなく』と発せられた方の背景、その重みを知って、これらか自分自身もそういうのを作らないといけないのかなと思いました。とんでもないアップデートができるのではないかと思いますし、今後の対談にも期待しかないですね」